より良くなろう
とすることと
より良く見せよう
ということは
明らかに違うが
履き違えやすい
その気持ちが
どこから出ずるのか
確認することが
必要である
利他的な自分と利己的な自分は
薄壁一枚すら隔てていない
「利他的に生きよう」
そう思って
人の役に立つために
何ができるかを考えてみる
そして
行動してみる
けれど
何だかおかしい
人のために行動しているのに
人間関係がギクシャクしたり
自分自身が苦しくなったりする
こんなはずではない
原因を探るために
自分の中を覗いてみる
すると そこには
「人のため」と言いながら
自分自身を満たそうとしている
忍者のような自分がいる
変装の術を使って
良い人を演じてみたり
煙幕を張って
本当の自分を隠してみたり
自分のズルさが
露見しないように
必死に
利己的な自分を
隠しながら
利他的な人のふりを
している
自分が認識している
顕在意識の自分だけが
まんまと騙されて
利他的に行動していると
勘違いしている
利他的に生きるなんて
ほど遠かった
利他的な自分と
利己的な自分の
境界さえ作られていなかった
「まさか」
と驚く自分と
「そんなもんよ」
と納得する自分がいる
良くなろうとすることと
良く見せようとすることは
確かに履き違えやすい
両者の間に壁すらないのだから
その違いを区別することは
困難を極めるはずである
